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STAP細胞 (9): 後出しジャンケンで 「グー・チョキ・パー」 全部を出した指導者

 この論文の指導者の発言を大勢が心待ちにしていた。理研の幹部たちの「政治的な」会見は、世間の興味をかき立てたし、筆者も、それなりに関心はあった。しかし、重要なことは「STAP細胞が存在するのか」ということである。


*2か月間の長い沈黙


 この研究に対して笹井氏が何を知っており、どう考えているのかについては、筆者は科学者として非常な関心を持っていた。揃って記者会見をした幹部たちは、如何にノーベル賞を受賞している大学者であろうと、理研のトップという枢要な地位にあるという政治的立場があり、さらに重要なことは、専門分野が異なっているのでSTAP細胞の意味や研究の判断は出来るはずがない人の発言は、政治的な意味ではともかくとして本質的意味、専門的な意味では、筆者には関心がなかったのである。

 


 

「笹井氏は何故今まで沈黙を保っていたのか?」

今回の会見で、この「何故」に対する答えが得られたと思った。


*後出しジャンケンをした政治的配慮


 笹井氏にしてみれば、とんだ災難に巻き込まれたと、迷惑千万に思っているのかも知れない。STAP細胞の研究を自分の研究課題であるとは考えていなかったという発言でも明らかである。今まで業績を上げ、科学者としての輝かしい歩みをしてきたのに突如として降って湧いた災難、降りかかる火の粉をどのようにして振り払おうかなどと頭を悩ませているのかも知れない。名誉ある科学者としては、僅か2ヶ月余の関わりを持った結果、この大騒動に巻き込まれたとほぞを噛んでいるとしたら、勘違いも甚だしいと思うが・・・。


 2ヶ月前に指導者として「好いカッコ」をさせて貰っておきながら、今まで頑固に沈黙を守り、遂に「後出しジャンケン」をした賢い人という感じである。アメリカのバカンティ氏はいち早くSTAP細胞について肯定的発言を何度も繰り返している、一方の若山氏は、自分が責任を取りたくないという意向がありありと見える否定的見解を何度も披露している。そんな中で、この大物、笹井氏は沈黙を続けて、事態がどのように推移するかを見続けてきたのである。


 さて、この後出しジャンケン、彼個人の意向であったのか、理研の指示であったのかどうかは分からない。小保方氏にもあの会見まで発言してはならないと止めていたこともあり、笹井氏にもさだめし政治的配慮があったのだろうと推測される。笹井氏は科学者である研究の指導者としてより、理研の副センター長としての社会的立場で記者会見したのであろう。全ての意見が出揃った後で、理研を護るために、また一人の優れた科学者の立場を護るために、余りにも見事な「後出しジャンケン」を演じたように思われる。


*後出しジャンケンで、「グー」「チョキ」「パー」を同時に出した賢い人


 笹井氏は今まで多くの優れた研究論文を公表している非常に優秀な生物学者である。理研としてはこの優秀な笹井氏が被る傷を可能な限り小さくしなければならない、守り通さなければならない。そのためにどうすればいいのか、理研は知恵を振り絞り、まずはそのための情報を整理する時間を確保して「後出しジャンケン」を笹井氏に演じさせたのであろう。


 笹井氏はバカンティ氏や若山氏などと時を同じくして、おおやけに発言しなければならない立場であった。しかも、同じ理研に所属しているので小保方氏と接触して専門的な会話が出来たはずであり、その上で、なぜ率直な意見を公表しなかったのか。


 こうして演出された「後出しジャンケン」でさえどうかと思うのに、かてて加えて彼は三本の腕と、三個の手を持った化け物のジャンケンを演じたのである。出てくる結果が「チョキであればグー」、「グーであればパー」、「パーであればチョキ」が有効になるという手はずである。こうして、後日どちらに転んでも、笹井氏は絶対に安全圏に逃げ込むことが出来るという算段をしたのであろう。



*笹井氏の会見での主張・・・無責任・安全圏への逃走


1)論文の不正を見抜ける立場になかった


 笹井氏の主張  最後の2ヶ月強で参加したに過ぎない、 若山さんが研究リーダーであり、世界の若山さんが間違うはずがない。 直属の部下ではなかったので、ノートを見せなさいと言えなかったので、不正を見抜くことは出来なかった。


 以上が不正を見抜けなかった笹井氏の申し訳である。しかし、同じ科学者として、また一人の成熟した社会人として我慢出来ない発言である。


 

 STAP細胞の論文を見ると、小保方氏が筆頭著者であるが、一つの論文は笹井氏が第二番目の著者であり、もう一つは若山氏が第二、笹井氏が第三番目である。すなわち、僅か2ヶ月余関わっただけで、しかも論文をよく理解もしないままこの大きな発見の論文に、この好待遇を受けて発表させて貰ったという、とんでもない事実が暴露された。この程度の関わりであれば、普通なら著者の隅にさえ入れないで、論文の最後に謝辞を述べるに留めるはずの貢献度なのである。


 言い換えると、著者の一人として参画することになる時点で、ノートを見せてくれと言えなかったなどというのは「冗談じゃない」ことで、幼稚な発想法・気遣いである。科学者としての立派な履歴がすでに築き上げられている大物の、副センター長が著者の一人になるにあたって、生データーを、実験ノートを見せろというのは、極めて当たり前の行動である。そのようにして論文全体を大づかみに理解し、論文の内容について責任を取らなけらばならないのは当然のことである。ましてや、第二番目、第三番目の著者としての立場を獲得するのであれば、責任の大きさはなおのこと大きい。


 この件に関する次の一点は、笹井氏がこのSTAP細胞の発見をこんなにも軽く扱ったということであり、生物学者の一人として理解の限界を超える。何度も何度も書いているように、このSTAP細胞の発見は生物学者であればびっくり仰天の出来事なのである。その驚きの論文の著者にと頼まれた時には、真摯な研究者であれば注意深く研究内容を検証するのが当たり前の行動であったはずである。優秀な科学者がこれを怠ったということは信じられない気がする。


2)STAP細胞は仮説・・・「君子豹変す」


 小保方氏が「STAP細胞は存在する」と断言しており、理研で彼女以外にSTAP細胞作製に成功した人が複数おり、またバカンティ氏もその存在を疑ってはいない事実を知りながら、「仮説」であると意見を変更した。万が一にもなかった場合の逃げ道を用意したのか? 


 しかも、今後複数の人々、複数の研究室で作製の成功報告が出て来た時にも大丈夫なように、「検証する価値のある有望な、合理的仮説」などと、右足を右の道に、左足を左の道にと、二本の異なった道に足を掛けて、どちらの道へでも行けるように日和見主義を決め込んだのか?


STAP細胞 ・・・ STAP現象 ・・・ を証明するデーターの存在


STAP現象は事実であると考えなければ理解出来ない観察事実がある。


STAP細胞の動画が撮影されており、あの動画は全自動撮影であり、改ざんは出来ない。

混入が疑われたES細胞よりSTAP細胞は小さく、区別が付く。

ES細胞では出来ないマウスの胎盤が出来た。


 STAP細胞の存在を証明するデーターとして以上の理由を挙げた。しかし、STAP細胞という言葉を避けて、STAP現象という言葉に後退したのは、仮説であると言ったことと連動している。


 これら重要なデーターを認めていながら、STAP細胞を認めず「仮説」という弱々しいところへ後退してしまったのは、科学者としてはいかがなものだろうかと思わされる。しかも、先に挙げたように作製に成功している人は複数いることを知りながら、また、バカンティ氏が認めている事実もあるのに、なお笹井氏がこのような結論を発表したのは、どのような意図があったのだろうか? 


3)論文は撤回すべき


 論文は撤回して、本当かどうかを見極める潔さが必要であると言い、出発点に戻りたいと明言した。論文を撤回したい人々の本音は、どうも理解しがたいという気がするが・・・・



*理研が姿勢を正して、まともな研究機関になりますように 



 第三者としては、先だっての理研幹部の記者会見や、今回の笹井氏の記者会見のように自己保身に終始するのではなく、この際理研の膿をしっかり出してしまって、早く正しい研究機関として立ち直りますようにと祈らずにはおれない。


 国民の血税を使って理研が運営されていることをお忘れなくと、警告を発したい思いがしている。政府であれ、政治家であれ、あるいはこのような税金を湯水のように使って行われている様々な政治活動において、このような問題が起こる度毎に、彼らは国民の税金を使っていることなど考えていないことを露呈する。貧困に喘ぐ日本国民を犠牲にして、何億円、何十億円という数字の感覚さえ分からなくなるほどのお金を我が物として勝手に使っている。


 

 最近の出来事では、東京電力の行動であるが・・・・・・。


 

 この国には、国を始めとして様々な組織で、どうも自浄作用が働かないようであるが、理研もこれら記者会見を聞いている限りに於いては、大きな期待は持てないようである。様々な申し訳を考え出さないで、科学者集団らしい解決、改善をして貰いたいものだと、切に願っている。


 





 


19:18 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark
Comment
安藤先生、今晩は。富良野の武田です。笠井氏の釈明会見をテレビで観ていて、全くのど素人である私でさえ、安藤先生と同じ事を思いました。「直の部下でなかったので、ノートを見せなさいとは言えなかった」という説明を聞いて、自分の耳を疑ったほどです。事の重大さを認識していなかったと自白しているのと同じです。この方がそんなに偉い博士とは知りませんでした。最後のコメントにも只呆れるばかりでした。
Posted by: 武田照子 |at: 2014/04/19 8:38 PM








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