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言葉は生きている(3): 「発生してございます」?? 「考えてございます」??
「群発地震も発生してございます。」
ニュースや天気予報を手に入れる朝のひとときのニュース番組で、いきなり耳に飛び込んできた言葉である。

内容からしてもちろん、大涌谷の立ち入り禁止、箱根山の噴火予想の話題であり、話しているのはアナウンサーではなく気象庁の広報担当者である。この間も、何かの申し訳だったのかどうだったのか忘れたが、どこかの省庁の担当者が「考えてございます」と言っているのを耳にした。

確かに「言葉は生きている」ので、文法が先ではない。いちいち文法を考えながら話す人はいない。しかし、意思の疎通を円滑に行うための大切な道具であり、意志が互いに正確に伝わるための約束が文法なのである。言語は時代と共に変わってきたのは事実ではあるが、それでも、互いに理解し合うための言語の約束を身に付け、「意識的に考える」という行動をする前に頭脳が無意識下で働いて文法を駆使して話し、理解しているのである。仮に無意識下であったとしても、言語を駆使するのは重要な頭脳活動である。

バベルの塔(聖書:創世記11章1節から9節まで)の裁きで人類の意思の疎通の道具である言語がかき乱され、数多くの言語に分かれた。問題はそれだけではなく、同じ言語を使っているはずの人々が言語の壁に悩むようになっている。言語が役に立たないこともあって、正しい日本語を軽視・蔑視する風潮が生まれ、訳の分からない表現を使うのが、「時代に先駆けている」「時代を読んでいる」「若者に理解がある」「ナウい」等と錯覚している。そして逆に、正しい日本語を大切にするのは、「時代の流れに遅れている」「時代を読めない」「小さなことにこだわり過ぎる」「年寄りの寝言」等々と、誇りを失い、自分たちの文化にも何もかもに自信が無い日本人は、自分たちの言語を崩すことに「新しさ」を感じるようにさえなっているのではないか。どんどん言葉を突き崩しても、それが時代の流れであり正しいことであるから、時代の流れに付いていかなければならないと考えるのであろうか?

「発生してございます」は、正しくは「発生しております」であり、「考えてございます」は、正しくは「考えております」である。丁寧語、敬語を使い慣れていない人が公式発言をしなければならない場面になって、緊張の余りこのような無茶苦茶な日本語になだれ込むことになるのだろうか? そして、それがいつの間にか、この無茶苦茶な日本語を大勢が使い始め、認知されるようになるのだろうか? 国語学者や言語教育に携わっている方々の正しい教育が普及しますようにと、願わずにはおれない










 
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