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「地上の星」 (36) 河井道・平和の使者・自立した女性が育たなければ戦争はなくならない

「地上の星」(36) 戦後の危機を救った女性 河井 道

 

久しぶりに「地上の星」シリーズをこのブログでご紹介する。

この「地上の星」と題する講演会は、長野キリスト集会の尾崎富雄氏により長年開催されているもので、地上できらっと輝く働きをしたクリスチャンの生涯を紹介している。中には非常に有名な人も取り上げておられるが、ほとんどは余り知られていない人々である。(長野キリスト集会のサイトを開いて下さい。講演が聴けます)

 

今回ここでご紹介する河井道も、タイトルにあるようにこの人がいなかったら戦後の歴史は大きく変わっていただろうという働きをした女性である。にもかかわらず、日本の歴史は彼女の働きを埋もれさせてしまった。何かの意図があったのか、なかったのかは、歴史の底の底を探らなければ分からない。恐らくは人間の歴史では永遠に埋もれたままになってしまうかも知れない。しかし、神の国の歴史では、しっかりと書きとどめられているに違いない。それくらい彼女の働きは大きな影響を与えたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河井道は恵泉女学園の創立者としてのほうがよく知られているようである。恵泉女学園という学校も、尾崎富雄先生の話を聞くまでは筆者は知らなかったが、学園のサイトで知る限りにおいては、非常に素晴らしい理念を掲げておられる。

「広く世界に向かって心の開かれた女性を育てなければ戦争はなくならない」と考えて、1929年、河井道が創立した学校が恵泉女学園である。そして、「この学校の真の校長はキリストです」と言い、信仰に基づく謙虚な心を持って学園を運営し、今も恵泉教育の中で一貫して伝えられているという。

 

創立89年を迎える現在、学園長中山洋司氏は「教育の目的は、自立(律)」であると断言する。学園の使命は「キリスト教信仰に基づき、・・・神と人とに仕え、自然を慈しみ、世界に心を開き、平和の実現のために貢献できる女性を育てる」ことであると発表している。「人が人間として自立(律)するには、学力と人間力を兼ね備えることが必須である」と言う。

 

言葉として書かれていることには異論はない。非常に素晴らしいと思う。

 

さて、具体的には、(1)人間性の滋養(心)を育むために、「聖書」「国際」「園芸」を正課に取り入れているという。(2)学力を育てるとは、単に与えられた事柄を覚えるだけではなく、じっくりと学習者自身が自分の内で知を醸成し、理を獲得していくことを意味する。中学高校では、思考力と発進力に力を注ぎながら知を醸成する。大学は、思考力・判断力・表現力を高める。(3)自立した学びへの支援。などを掲げている。

 

*************

 

河井道は、余りにも優れた才能を頂いた類い希な人であると思われる。良家の生まれであって庶民ではない、後で、経済的な苦難が時代の流れの中で一家を襲ったが、しかし多くの恵みの中で彼女の才能は非常な努力の結果、見事に花開いた。

 

多方面に亘る能力を駆使して、また恵まれた機会もあって、日本の戦後の一つの危機を救う一助をしたのだろうと思われる。また、その才能を新渡戸稲造にこの上なく珍重されて、遂に、世界恐慌のまっただ中で恵泉女学園を創立した。

 

「女性が少し学問が出来るからと言って、炊事・洗濯・掃除等々の家事が出来なくては駄目です」というのが、彼女の「自立・自律した女性を育てる」方針の真の中身であったようである。明治の時代に生まれ育った女性として、このような思想は致し方なかったとは思う。今の時代にこんなことを、心の中で秘かに思っていても、公言したら、多分袋だたきに遭うだろう。だが、恵泉女学園を創立したのは、昭和4年、このような発言が当然であると考えられた時代であったし、どうやら平成がもう終わろうとしている現在、2018年でも、一般的には心に引っかからないで聞き流す人がほとんどだろう。だが、筆者は、とことん「引っかかった」。こんなにも優秀で先進的で、時代を牽引してきた女性が、しかも女性の自立・自律を旗印にして学校を創立した彼女が、何ということ!と思った。

 

この話は、上に紹介した「地上の星」の講演で、尾崎富雄先生がサラッと紹介しておられる。それに対するコメントはないが、全体的な話の流れや調子としては肯定的かな、という印象を受けた。当たり前かも知れない。普通の男性の感覚としては、女性の自立や社会進出を支援する男性のほとんどは、家事を手抜きしないという前提が入っていることが多い。即ち、家事、家を整え守るのは女性の仕事であるというのが社会一般の「常識」だと決めているのである。

 

即ち、女性は社会で活躍したいのであれば、働きづめに働いて、心身共にすり減らして生きていきなさいということか?実際、一日の仕事を終えて帰宅すると、男はのんびりとくつろいで腰掛けて新聞を読んだり、テレビを見たりしている。一方で、女性は夕食の支度をしながら洗濯機を回し、洗濯物を取り入れて畳み、ただ働きづめの一日を終える。朝は朝で、女性が先に起きて朝食の準備、子供たちのお弁当を作り、そして子供たちを起こして、大変な思いをして朝を過ごす。・・・もっとも、これは日本の場合である。アメリカの家庭は違う。家庭は夫婦で作り上げるものだという思想が人生観の根底にあるようである。

 

さて、ともあれ、女性の自立のために大きな働きをし、恵泉女学園という実を遺した河井道がこのように豪語した背景は、彼女の生きた時代、彼女の家系、そして何よりも彼女の類い希な才能によるのだろう。そういう意味で、彼女は余りにも有能すぎた。二人前、三人前の働きをやり通すことが出来たのである。だが、並の人間には出来ない。家事万端をするのは、今の時代にやっと認められ始めているが、一人前の仕事である。社会で何かの仕事をするのも同等に一人前の仕事である。従って、特に優れた仕事をしていなくても、家事を行い、同時に外で働くのは二人前の仕事である。

 

河井道は社会的にも二人分の仕事を高いレベルでやり遂げた。その上で、家事も立派にやったのだろう?? ともあれ、それほどに優れた才能を誰に頂いたのだろう? 彼女を特に選んでこのような才能を与えられた神を彼女が忘れていたはずはない。よもや自分がエライと思っていたとは思いたくない。だが、ではなぜ、このような傲慢な発言をしたのだろう?このように豪語したのはどうも赦しがたい思いがする。学問をし、同時に家事も満足に果たすことが出来る女性、いや男性も含めて人間は、1000人いたら、多分一人くらいいるだろうか? 残り999人は、どちらか、あるいは両方ともに欠けが生じる。そして、女性の場合、社会での仕事を充分に果たせない状況が起こる。かくて、日本における女性の社会進出が著しく遅れている一因となっているのである。

 

****日本は民主主義後進国であると評価される所以である。****

 

河井道のこの発言にこだわるのは、筆者自身が若い時代にこのような言葉を浴びせられながら自立・自律を追い求めて人生を歩んできたからである。筆者は河井道のびっくりするような才能には及びもつかない凡人であった。一人前のことしか出来ない一人の平凡な女性として生を受けた。ただ、「女性はこのように生きなさい」と、社会から女性に押しつけられることとは異なった生き方をしたいと思い、異なったことに関心があり、異なったことに情熱を燃やしたために、ある意味で厳しい人生を強いられることになったのである。筆者が関心を持つことは「女らしくない」と非難の対象になり、多くのことは道を閉ざされてしまった。男であったなら良いのだけれどとだめ押しをされた。女は自分の意見を持ってはいけないし、ましてそれを発表するなどとんでもないと否定された。日本では男も「出る杭は打たれる」傾向は結構あるが、女性には何倍も手厳しかった。アメリカに行って、女が自分の意見を持っても、それを発表しても構わないと知った時の驚きと喜びが分かるだろうか? 自分の独自の見解を持つことが、女らしい定義の中に収まっているのである。男らしいこと、女らしいことの定義は、日本とアメリカでは全く異なっていたのである。

 

日本では押しつけられることを撥ね付ける以外に、筆者のような人間には生きる道はなかった。もっと有能であれば、少しぐらいは楽であったかも知れないと、この世の人生の終焉が何十年も先ではなくなった今になって思う。だが、神様はそのように豊かな才能を筆者には与えられなかった。もしかしたら、能力以上のことをしたいと思ったのかも知れないと、今になって思う。だが、そのような厳しい道を歩いてきたから、世の理不尽に気が付いた。世の不当な差別に気が付いた。そして、そのような世の理不尽に対しては、理知的に戦う必要があると気が付いた。ただ単に、腹が立つという感情的な戦いではなく、理性的に世の理不尽を、差別を多少でも解決するための努力をしなければならないと気が付いた。様々な理不尽な差別と戦ったいる多くの人々のために、本当に小さなことではあるが、筆者の出来ることで手を差し伸べなければならないと思った。

 

昭和に生まれ育ち、平成まで無事に生きてきた、そういう時代背景の中で育まれた一人の平凡な女性にも、主である神が小さな使命を与えられた。「あなたはこれこれのことをしなさい」という神の声を聴いたと信じている。その与えられた使命を全うして神の国に凱旋したいものだと切に願って、日々の生活を大切に生きている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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